【新編集長インタビュー】「世の中を動かすパワーがある30代キャリア女子たちへ。@BAILAができることはたくさんある」片桐由子
BAILAのデジタルメディア「@BAILA」の新編集長に就任した片桐由子。かつてWebメディアを立ち上げたキャリアを活かし、就任直後から数字を伸ばしています。11月の数字はPV1013.3万、UU153.5万となっており、かなりのスピードで右肩上がりに。読者組織「スーパーバイラーズ」も率いながら、今後の@BAILAはどう拡大していくのか、展望を聞きました。
1993年入社。20代は少女漫画編集部で漫画ビジネスに携わり、30代からはコスモポリタン編集部へ。政財界から芸能界まで、幅広く著名人のインタビューなどを担当。その後、MAQUIA編集部、ライツ事業部を経て、2014年に女性誌企画編集部へ。「40代~50代の美とからだを全力応援!」をコンセプトとしたデジタルメディアOurAgeの立ち上げメンバーに。2024年10月より現職。
学生時代、MOREのロングインタビューを夢中で読んでいました。MOREはファッション誌なのに真っ先に開いていたのは、ファッションページではなくインタビュー記事(笑)。本人の内面に切り込んだMOREのインタビューはいつも読みごたえがあり、人物取材をしたくて集英社に入社。当時ヤンキースに在籍していた松井秀喜氏取材のときは、スケジュールの都合で一週間で2回アメリカへ弾丸出張するというかなりの強行軍も体験しました。
デジタルメディアは「今まで誰も飼ったことがない生き物のようなもの」。ご機嫌(主にGoogleのアルゴリズムのことです・笑)が突然変わる生き物で、今はその飼い方を日々試行錯誤しながら学んでいる最中です。
Q デジタルメディアを伸ばしてきたキャリアについて
2014年にスタートしたWebメディア、OurAgeの立ち上げを担当したのですが、紙媒体と違って配信翌日には記事の反響が数字で突き付けられる。その面白さにはまりました。記事を作るときに念頭に置いているのは「PV、UU、ブランディング」の3つ。
ほかに忘れてはならないのが「通勤電車の中でなんとなく記事を読んでみたという人でも、その場ですぐやり方を理解できて、即真似したくなる・買いたくなる内容にすること」です。得意なのは体験記事や商品紹介の記事。たとえばOurAgeで担当した「断捨離」の記事は1記事で約120万PV、UU約27万を稼ぎ、「メイク連載」はTikTokerを起用して1記事で162万PV、UU32万以上という高パフォーマンスに。
Q BAILAにおけるデジタルメディアはどんな役目?
WEBは即時性が何よりの強み。BAILAの世界観を体現するプリント版を補完しつつ、読者に最速で最新情報を届けるメディアです。
SNSは、私にとってはパラメーターのひとつ。船乗りが風向きや潮の流れを読んで船を操作するように、その反応で「流行の先を読むツール」という位置づけです。
Q 新編集長として@BAILAをどう見ている?
まず、消費行動における今の30代の女性たち(とくにBAILA読者)の賢さに、改めて驚きました。消費行動に知性と合理性があるのです。たとえば30歳前後でハイブランドのリングや時計をすでに持っている人が多いのですが、リングも時計も、仕事中PCを打っているときに目に入るもの。それが視界にあることで「こういうリング(時計)を買えるぐらい頑張っている私」を再認識できるというのです。つまり自信や自己肯定感につながる買い物をしているんですよね。編集部ではそれを「主人公消費」といっています。
「BAILAキャリア女子総研」を見ても、30代女性たちが世の中を動かすパワーを持っていることがわかります。実際、企業さまからお話を聞くと「30代女性を集客したい」という声も多い。それはやはり、彼女たちが自分で稼いだお金を、自分のために使える、つまりさきほど言及した主人公消費の人たちだからなのではないでしょうか。そういう点からも、@BAILAでできることはまだたくさんあると考えます。
Q @BAILAではどんな企画を?
新連載として、マネー連載をスタートさせます。たとえば資産運用が初めてのライターやバイラーズを起用して、軍資金をどこまで増やせるか、赤裸々レポート。この「どこまでできるか?」というフォーマットは、OurAgeでもヒット記事となっており、反響の高いマネー連載になると自負しています。また、バイラーズ世代は会社員の場合、チームリーダーや主任など管理職への階段を上り始める年代。仕事で人前に出る機会、いわゆる登壇してお話することがある人も多いので「#私の登壇服」というテーマを始動。
さらにゴルフ連載も予定。なぜかというとゴルフをするとクラブやウェアに凝るだけではなく、車も欲しくなってきたり、コース至近の素敵なリゾートホテルに泊まりたくなるなど消費行動が拡大するからです。ほかにもヘルスケアやインテリア、不動産など、ライフステージが多岐に渡る30代には、刺さる企画がまだまだあります。パワーシングルやパワーカップルの家ルポなどの記事はマンションのタイアップなどとも相性がよさそうです。積極的に間口を広げ、オリジナル記事をどんどん発信していきます。
Q 読者組織・スーパーバイラーズのポテンシャルはどう活かしていく?
BAILA新体制の記事でもお伝えしましたが、メンバーを大幅に増やしていく予定です。まずは早々に100人、そしていずれは300人体制へ。年収や嗜好など、プロフィールを細かくセグメントして、タイアップでもどんな企画にもぴったり合うメンバーがすぐ抽出できるように組織を整えていきます。バイラーズの感度の高さは、商品やメニュー開発のコラボなどにもご活用いただけると思います。たとえば「残業中に食べても罪悪感がない高タンパク質&低カロリーのサンドイッチやお弁当」など、バイラーズならではの視点をクライアント様のニーズにいかしたご提案ができると思っています。
さらに、ブロガーである彼女たちの投稿記事にはヒットが多数ありますが、記事の書き方やタイトルのつけ方などWEB記事の書き方の基本をレクチャーした8月から、PV・UUが右肩上がりに伸びています。今後は彼女たちの投稿モチベーションを高めて、さらにバイラーズ全体の発信力・拡散力をあげていきたいと考えています。
Q プライベートで最近ハマっていることは?
パワフルに語る片桐の意外なプライベートとは?「庭いじり好きが高じて、一昨年、600坪だけですが森を買いました。ひとりで電動のこぎりでうっそうと生えている木の剪定や伐採をしてきましたが、それでは追いつかないので、今度チェーンソーを買うつもりです。先日、森の手入れとWEBサイトの運営には、共通点があることに気づきました。それは〝絶えず目配りして、必要に応じ、どんどん手を入れていく〟です」