ファンを惹きつけてやまない
「ひとりっぷ」という コンテンツの秘密。

仕掛け人インタビュー第3回は、「海外ひとり旅歴25年以上、海外ひとり旅回数400回を越える元SPUR編集長」ひとりっPこと福井由美子。その圧倒的実体験をモトにした旅情報は常に注目度が高く、コラボしたバックが即完売するなど、とてつもない人気を誇ります。今回はそんなひとりっPにファンを惹きつけてやまないコンテンツの秘密を聞きました。ここでしか読めないひとりっぷの舞台裏をお楽しみください。
※「ひとりっぷ」は(株)集英社の登録商標です。

あまりの渡航回数に旅バカと称される⁉︎ そんなひとりっPは、旅の原動力も旅バカすぎた。

私はその土地のことを何でも知りたいタイプで、地理・文化・歴史をリアルに体験する、まるでフィールドワークのような感覚で旅しています。行った先で「あれは何?」「これはなぜ!?」といろんなものが気になっちゃうんです。そして、疑問点は追究せずにはいられない。ひとり「世界ふしぎ発見!」状態(笑)。
そこが民芸品で有名な街なら、数十軒ある民芸品店をローラー大作戦で片っ端から訪問していき、どの店がセンスがいいのか確認せずにはいられないし、時間切れで行き残しがあれば、たとえ地球の裏側だとしても再訪せずにはいられない。25年以上に渡るそんな旅バカぶりを幸いにも結実させてもらえてできた本が『ひとりっぷ』なんです。

始めたからにはありったけの熱量で。ひとりっPは「出し惜しみなし!」

“ひとりっぷ”として実際に動き出したのは、2011年に私が雑誌『SPUR』の編集部に異動して、最初の会議で企画を出した時ですね。「ひとりっぷアジア」という特集でした。その後ハワイや京都などの「ひとりっぷ」特集があり、私が2013年に『SPUR』の編集長になったときに「今月も世界のどこかでひとりっぷ」という編集長コラムをスタート。これが今の原型になっています。元々このコンテンツの書籍化の予定は、まったくありませんでした。シリーズ化なんて想像したこともなかった。それが2016年に「年末年始本屋さんにいこう」という、日本雑誌協会主催と日本取次協会が共同実行したキャンペーンが書店で実施されることになり、12月31日に様々な出版社が一斉に特別ムックを発売したのですが、弊社でも企画募集があり、そのひとつとして採用されたのが、『ひとりっぷ』でした。

「ひとりっぷ」は写真が命!

運良く本として発売されることになったものの、作り始めてすぐに問題発生。企画提案段階では「自分で撮り溜めた写真がたくさんあるので、大丈夫。すぐに着手できます!」と言い切っていたんですが、とんでもなかった。よくよく手持ちの写真を整理してみたら、クオリティが全然足りてない。「なんだこれ」状態。掲載を意識して撮影していない写真のダメっぷりがわかって、「やばい!」。『ひとりっぷ』にとって、写真は命。ここがキモだと思っていたので、今もそうですが、写真の妥協はありえない。それで、その年の残りの連休や夏休み、有給休暇を全て投入して写真撮影のために旅行し直しました。なんとか校了に間に合わせましたが、ギリギリでした(笑)

1冊目の『ひとりっぷ』が幸いにもヒットして、現在6刷に。今も売れ続けているんですが、発売後にものすごく言われたのが、「出し惜しみ感がないのがいい」ということ。いやいや、出し惜しみしてる余裕なんてありませんから。私は旅のプロではないので、100%必死で全力投入してやっと、読者に満足してもらえるかどうかだと思っています。『ひとりっぷ』シリーズは、ひとりっPの旅愛と旅バカっぷりを、出し惜しみどころか、これでもか!と詰め込みまくってできている本なんです。

目指したのは、作り手の顔が見える旅ガイド。

私がひとりっぷというムックで軸にしているのは「ひとりっPが心の底からおすすめしたいことだけを掲載する」ということ。「旅行ガイド」というカテゴリでは、責任編集というのはあまりない。でも農家の人が自分の所で大切に育てた野菜を、「わたしが作りました」と作り手の顔が見える形で売るのと同じような旅ガイドがあってもいいんじゃないかと。「自分が感動したこと」をひとりっPの責任で読者に伝えたい。だから旅行取材のプレスツアーは基本的にはお断りしています。「自分のアンテナに引っかかったものを自由に追究する」というひとりっP的旅スタイルを崩すとすべてが嘘になってしまうので。ひとりっぷファンからの「ひとりっぷ」への信頼を大切にしたいからでもあります。受け取り手のファンや読者のみなさんのことは常に意識していますね。

「ひとりっぷ」がこうやって本、ウエブ、各種コラボタイアップ、トークイベントなど、多面体展開で続けられているのは社内各部署の協力あってこそ。たくさんの協力と理解を得て、現在の活動ができています。そしてそれらを熱烈に応援してくれるファン=ひとりっぱーの方々のおかげで、こんな風にシリーズ化できているわけで、ファンのみなさんには感謝しかないです。ただ、それは決してこちらから仕掛けたわけではありません。ひたすらブレずに旅愛発信活動をし続けていたら、気づいたらファンのみなさんが付いてきてくださっていたんですよ。

企画・写真・文章、すべて福井由美子。ブレない視点がファンの心を掴む。

旅に関するコンテンツが多々ある中で「ひとりっぷ」が唯一無二として支持されているのは、ひとりっぷの「中身」に関しては代わりに作業する人が存在せず、自分ひとりで作りきっているからだと思っています。すべての写真、文章は人の手を加えることなく自分で担当しています。取材時のコーディネーターさんも、海外の場合でもお願いしていません。ひとりっぷはそこから「責任編集・福井」です。取材態勢も、ガチひとりっぷ(笑)。「後継者やアシスタント的な人を作らないんですか?」と聞かれることもありますが、ひとりっP以外の発信者の視点が入った時点で、それは「ひとりっぷ」ではなくなる。なので考えたことはないですね。

いろいろな形でファンと接点を持つ反面、コンテンツ力が分散しないのは、この「責任編集=ひとりっP」は崩さないからだと思っています。「女性のひとり旅を応援する」というのが「ひとりっぷ」のコンセプトなので、はじめからある程度絞られたターゲット。しかも内容の基準は「福井=ひとりっPが良いと思ったかどうか」(笑)。だからこそ「嘘偽りなく良いものを」「ブレずに伝える」というコアは不動で、「ひとりっPさんがおすすめするなら、行ってみたい、試してみたい」とファンの気持ちを大きく動かすことにも繋がっていると思います。

南米にフレンチトーストを食べにいく「ひとりっぷ」ファンが続出!?

実際、ファン=ひとりっぱーの方ってすごく感度が柔軟で、旅に対して真摯でアクティブなんですよ。情報を見たらパッと動く。「南米ウユニ塩湖近くの3部屋しかないホテルの朝食のフレンチトーストが人生最高においしいんだけど、泊まらないと食べられない」と『ひとりっぷ2』で紹介しているんですが、「どうしても食べてみたくて、ホテルの予約頑張って取って行ってきました!」とトークイベントのあとや街中で話しかけてくださるファンの方が何人も。南米なのに!ボリビアなのに!とそのたびに涙が出そうに感激です。レスポートサックさんとのコラボバッグも、いっさいの妥協なし&こだわりを詰めまくって作っていただいたのですが、ありがたいことに発売から3日間でほぼすべての商品が完売するなど、こちらも驚くような反響をいただいています。「マスでは決してないけれど、本当にそのコンテンツが好きな人に刺さっている」、それがひとりっぷの強みなのだと思います。

マスにマスにと、情報を拡散していくやり方もありますが、その一方で狭くディープにという作戦もありだと思うんです。このファンとのいい関係というのはクライアントにも伝わって、ひとりっP監修のコラボグッズや旅にまつわる企画のお話など、「こんなことをお願いできませんか?」とお声を掛けていただけるようになりました。

ちなみに、SPUR.JP内にあるひとりっぷwebではひとりっPの私物コーディネート紹介記事の人気が高いんです。旅コンテンツなのにファッション系記事がはねるのも「ひとりっぷ」の特徴ですね。直近公開のひとりっぷ × レスポートサックコラボバッグのコーディネート実例紹介記事も「全部リアル!全部私物!」なので、ぜひご覧ください(https://spur.hpplus.jp/culture/hitrip/202206/07/JzIydZc/)。

「伝えたい気持ち」は伝播する。ひとりっぷファンは全員が “観光大使”です。

旅って結局、「生活全般」とどこかで必ず繋がっているんです。旅に出るなら乗り物に乗る、食べる、メイクもする、服も選ぶ。だから「ひとりっぷ」は旅+αな企画も大歓迎です。食は言わずもがなですが、乗り物でも、メイクでも、イベントでも、「ひとりっぷ」は大得意。「ひとりっぷ」を軸にすることで逆に、幅広くいろいろな発信の仕方が可能になります。もちろん、そこには「総合出版社」である集英社の強みもバリバリ活かすことができます。WEBメディアへの掲載や、関連媒体への露出など、臨機応変に様々な連携をとっていけるのは弊社ならではのアドバンテージです。

そして、「ひとりっぷ」というコンテンツのファンになってくれる方は、旅先での感動をどんどん周りに伝えていってくれるような、こだわりと旅愛が深い方が多いです。単純にその場でサービスや、モノを購入するといった範囲にとどまらず、ファンが観光大使や親善大使のように現地の良さを広めてくれるんですよ。よく現地の感想を私にも共有してくれるし、ファン同士盛り上がっていることも。やっぱり「感動したこと」は人に伝えたくなりますよね。

コンテンツに、「感動」の気持ちを込めて。

残念ながらコロナや戦争など、旅するには厳しいと感じる情勢もありますが、旅って相互理解=世界平和にも繋がる素晴らしい活動だと私は思っています。現地の文化や歴史をリアルに体験し、その場所の人たちと交流することで、その街はもう知らない街ではなくなる。ニュースが他人事ではなく自分事になっていく。そういう旅の素晴らしさをもっともっと広めていきたい。人の心に届けるためには、まず「これを伝えたい」という強い気持ち、熱意が必要です。これからも「ひとりっぷ」は、心からの「感動」を込めたコンテンツを作って発信していきます!


*ひとりっぷweb (SPUR.JP内)
https://spur.hpplus.jp/special/hitrip/

*ひとりっぷ×レスポートサック コラボバッグ第3弾(6/8発売)
https://shop.lesportsac.co.jp/pickup/?file=220601_hitrip

*ひとりっぷ×ジェイアール名古屋タカシマヤ 「夏気分、旅気分」フェア(6/30まで開催中)
https://www.jr-takashimaya.co.jp/cp/2022natsukibun/


仕掛け人インタビュー:Backnumber
・第1回〈集英社 エディターズ・ラボ〉企業のファンづくりになぜ編集力が必要なのか。
・第2回「面白い」を形にする。WEB UOMO編集長の企画力の源泉。

ニュース一覧に戻る

お問い合わせ

この事例にご興味のある方は、下記までお問い合わせください。

03-3230-6202