「漫画」のさらなる可能性
を追求。『少年ジャンプ+』
が目指すところ。

仕掛け人インタビュー第4回は、『SPY×FAMILY』『タコピーの原罪』『怪獣8号』などのヒットを飛ばす『少年ジャンプ+(プラス)』の細野修平編集長。ヒット作が生まれる背景や、デジタル×漫画の新しい可能性について語ってもらいました。漫画への愛溢れるトークは必読です。

細野修平:集英社に2000年入社。『月刊少年ジャンプ』でマンガ編集者としてのキャリアを始める。 以降、『ジャンプスクエア』を経て、2012年から『週刊少年ジャンプ』に異動。そのデジタル担当として、『ジャンプLIVE』の立ち上げを経て、マンガ雑誌アプリ『少年ジャンプ+』を創刊。2017年から同誌の編集長を務める。

 紙とデジタル、その過渡期を見てきた漫画編集長の見出した「軸」。

2012年、集英社ではじめてデジタル書籍を扱うアプリ『ジャンプBOOKストア!』がリリースされました。僕はそれまで漫画雑誌一筋できて、当時、デジタルで漫画を扱うことになったときは、その需要がここまで高くなるとは想像もつかなかった。当時は可能性を探っていた部分もあります。でも、実際に『ジャンプBOOKストア!』から、『ジャンプLIVE』『少年ジャンプ+』と重ねてきて、様々な知見が溜まりましたし、手応えも感じています。

そこでとくに意識していることは、「デジタルだからこそ見せられる新しい施策はないか」を常に考えることと、「漫画をもっといっしょに応援できる形をつくっていきたい」ということです。デジタルになって、読者の反応はいただきやすくなっている。頑張っている漫画家の方々を、ファンが応援できる仕組みを作ったら、出版社・読者・漫画家「三方よし」になりそうだと。全員が嬉しい形を目指しています。

 漫画をデジタル化することで生まれた強みとは?「シェアしたい」気持ちに着目。

誌面との違いは「即時性」というのが本当に大きいと思います。最近はどのサービスでも無料公開というものが増えていますが、そうすることで「この漫画面白い!」と思った時、すぐにSNSで共有してもらえます。ツイッターなどは拡散力もすごいので、それだけでも大きな広告効果がある。

今日(取材当日)、 藤本タツキ先生×遠田おと先生の短編読み切り『フツーに聞いてくれ』が公開されたんですけど、もう108万閲覧もきているんですよ!(そう言って、タブレットの画面をシェアしてくれる編集長)。評判が評判を呼ぶのはまさにデジタルならではですよね。他の出版社でも、「もうすぐ最終回を迎える連載作品だから、デジタルで一気見して最終回はみんなで迎えよう」 みたいなムーブがあったりして、「面白い漫画をシェアして楽しみたい」という大きな流れができてきていますよね。ジャンプ+のトップでは、そういった所も意識して、アクセス数を常に確認できるようにしているんです。ランキングもほぼリアルタイムに入れ替わります。 こういったところからも、それぞれのコンテンツの盛り上がりが感じてもらえる仕組みを作っています。

 「週刊少年ジャンプを超える!」そんな目標も現実になる?『SPY×FAMILY』『タコピーの原罪』など数々のヒット作が生まれる理由。

週刊少年ジャンプを超える!というと、競合してしまわないのか…といった懸念もあるかもしれませんが、そこは僕らは全然心配していないんです。デジタルも紙の雑誌と同様に「面白いものを作る」、「ヒット作を作る」という意識は変わりません。どんな媒体であれ、読者は面白いと思えば見てくれるはずです。

ただ、ジャンプ+の独自性としては、「漫画家さんの自由度が高い」と言えると思います。例えば紙の雑誌だったらページ数の制限や、連載周期など制限もありますが、デジタルはそこを取っ払えます。週刊ではなく、隔週で描いてもいいし、イラストのみの日があってもいい。

もっと根本の部分をお話しすると、ヒット作を出す=利益を出すと捉えられがちかもしれませんが、ジャンプ+編集部では短期的に利益が出ることを目的にしているわけじゃありません。どんな形であれ、コアに好きでいてくれるファンがついて作者を応援してくれる形ができれば、それが長く価値を生んでいくと考えています。最近では「ジャンプ+って他では読めない漫画が読める」とか「ジャンプ+の読み切りは個性的」という声も聞こえるようになりました。ここにくれば今までにない新しいものが読める!と思ってもらえたらそれもひとつの成功なんですよね。

ちなみに、『ジャンプルーキー!(ジャンプでの掲載を目指す人が集まる漫画投稿サービス)』にはひと月で3000〜4000本が投稿されます。編集部は手分けして全部読んでいますよ。それもヒット作が生まれるとても良い土壌になっていると思います。

 「動画広告で作者を応援」「いいジャンボタン」…ジャンプ+らしい新しい体験を提案。

僕たちがジャンプ+を作っていく上で、「読者にこんな風にアプリを体験してもらいたい」という編集側の企画もアプリに反映するようにしています。

例えば、YouTubeなどでは「投げ銭」文化というものがありますが、それをジャンプ+で取り入れたのが、「動画広告を見て作者を応援する!キャンペーン」。これは漫画を読み終わったあとに、読者が動画広告を再生することで作家さんに広告収益が入る企画です。広告を見ることでその漫画家さんを応援することができるんです。

試験的に始めたものでしたが、「これなら気持ちよく広告が見られる」とニュースにもなり、漫画家側にも読者側にも好評でした。ほかにも「10回押せる いいジャンボタン」や「この漫画をおすすめしているツイート」を表示できる仕組みもあります(ブラウザ版のみ)。これらも「読者に漫画家さんをぜひ応援してほしい」という気持ちからできていて、こういった施策を今後もどんどんしていこうと思っているので、ぜひ一緒に楽しんでもらいたいです。

『ジャンプ+』トップ画面

 漫画の可能性はもっと広がるはず。コンテンツだけでなく、取り組みにも着目してもらいたい。

『ジャンプ+』が目指すところは、1日に1000万人に読まれる作品を作ること。週刊少年ジャンプが600万部以上売れていたときは、回し読みもあったから、1000万人くらいに読まれていたと思うので可能かなと。そのために、まずはどの曜日にも100万人が見てくれるような作品が必要。まだ、コンスタントではないけど各曜日100万閲覧の作品を作ることは徐々に達成できています。

TASAKI×チェンソーマン スペシャルコラボレーション

また、こういった注目から漫画コラボを考えてくださるブランド、広告人の方も増えています。その方々に知ってもらいたいのは「商品化される絵や形そのもの」だけでなく、「このメーカーがこんなコラボをするんだ!」という意外性のある取り組みにも世間は注目しているという点。カジュアルな取り組みが親近感を呼んだり、ブランドイメージの刷新にも貢献したりします。

先日発表した、「TASAKI×チェンソーマン スペシャルコラボレーション(https://www.tasaki.co.jp/tasakidanger-chainsawman/)」もまさにそうで、宝石の高級感あるイメージと、企業の遊び心のギャップがSNSで大変話題になりました。2021年に公開された「トヨタカローラクロス(https://adnavi.shueisha.co.jp/works/15810/)」の事例でも、ひとつの車から漫画家さんによってまったく異なるイメージが生み出されることに驚きの声があがっていましたね。ぜひ漫画広告を検討する際に、できあがるコンテンツといっしょにどんな「取り組み」として捉えられるか、という観点でも見てもらいたいです。

ジャンプ+のオリジナル連載はダウンロード後は初回全話無料で読めますので!その中から自分や、企業にぴったりの作品を探していただけたら嬉しいです。

少年ジャンプ+はこちら>
少年ジャンプ+の媒体資料はこちら>


・第1回〈集英社 エディターズ・ラボ〉企業のファンづくりになぜ編集力が必要なのか。
・第2回「面白い」を形にする。WEB UOMO編集長の企画力の源泉。
・第3回 ファンを惹きつけてやまない 「ひとりっぷ」というコンテンツの秘密。

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